顧客 | 米国 |
作業場所 | 米国 |
エンドユーザ | 名簿業者 |
システム | 名簿管理 |
業務 | 名簿管理システム。 名寄せ、住所履歴管理、日本人名パターン認識、NCOA住所サービス連携 |
期間 | 1996 |
チーム(MAX人) | 1 |
規模(人月) | 10 |
担当 | 営業、PM、SS、SE、PG |
言語 | C |
テクノロジー/ライブラリ | Cause (手続き記述型開発ツール) |
インフラ/OS | Mac OS |
経緯
ある日系のツアーガイド会社様から、日系のビジネス書籍のメールオーダーを始めるのでシステムを作って欲しいとの依頼を受けました。あわせて全米の日本人のリストの制作、管理を依頼されました。
目的
この企画には日本の大手出版会社様がパートナーとなっていました。全米の日系人にビジネス書籍を販売しようというものです。わたしも要件を伺うミーティングに日本に飛びましたが、それが渡米して初めてのビジネストリップでした。
当時はインターネットも普及していなかったため、企業が一般のユーザにリーチするにはメールでパンフレットや申込書を送ることが有効でした。切手の費用が莫大にかかりますが、5%の購買を目安に儲けを組み立てるのです。メールオーダー請負のサービスも数多くあった時代です。対象が絞れていれば非常に有効な手段ですし、米国内の場合は全国区の日系の新聞がありませんので、数少ない手段の一つでもありました。
設計
まず、全米の日本人のリストをつくる事が大きな工数を占めます。その会社はできるかぎりの日系人会やその他名簿を集めていました。私は名簿の内容を入力するための簡単なアプリを作成しその会社の方に打ち込んでもらいました。そういった名簿に乗っている人はなんらかの会に入っている、ビジネスマンが多く潜在的に有望な顧客です。しかし数千名しかあつまらず、メールオーダーのビジネスとしては数が足りませんでした。
当時はおおらかな時代で、全米の電話帳の内容がCDで販売されていました。またそのデータは全て検索、出力可能でした。わたしはそこから名前を頼りに日本人を抽出することにしました。上記で作成した名簿から日本人の名前のパターンを抽出し、フィルターを作成して日本人と思われるレコードを拾います。部分一致で検索させ、その他のバリエーションを加えながら10万人程度の日本人(とおもわれる)名簿を作成しました。
あとはメール内容の印刷や、その結果の管理となりますので、そんなに難しい話ではありません。その会社ではMacintoshを使用していたので、AppleTalkでネットワークを構成し、FileMakerで商品となる書籍の管理、宛名などの印刷と、オーダーが来たら入力、シッピング、トラッキング管理のシステムを構築しました。
運用
名簿というものは、適時メンテナンスが必要です。最初の名簿でメールを出してみると、20%ものメールが返送されてきました。大体は引越し先の情報がついていましたので、それを入力し再送します。しかし、引越し先が日本であったり、不明なものも多くありました。これは切手代を考えると大きな痛手です。そこで、NCOAというアメリカ合衆国郵便公社(United States Postal Service, USPS)の住所変更情報サービスを利用しました。
定形のフォーマットで名前、住所を送るとその人がそこに住んでいるのか、あるいは引っ越したのか、その引越し先などの情報付きでデータを送り返してくれます。その利用により、メールの精度を上げることが可能になりました。
その後
システムが運用稼働し始めた後、わたしは社長や、社長のビジネスパートナーにCMS機能のプレゼンをしました。当時、CMSという言葉が米国の業界雑誌ではあちこち見られるようになっていた頃です。おそらく今ですと、本業の旅行業に紐付けたり、様々な展開も考えられるので興味を持たれたと思いますが、当時はその概念が受け入れられず採用とはなりませんでした。